「水の中にいるみたいで、右耳がボワーンとしてるんです」
そう訴えて来院された50代の女性患者さん。低音域の聴力低下と閉塞感が続いており、緑内障の既往からステロイド系の薬が使えない状況でした。
氣脈功(きみゃくこう)で診ると、腎の氣位は−0.3。腎の機能が完全に枯渇していました。
初回に右太谿(腎経原穴)への補鍼1本を行ったところ、その場で腎の氣位は9.9に急回復。帰り際に患者さん自ら「耳のボワーンがなくなった!」とおっしゃっていただきました。
2回目の治療では全腹診の氣位が10・10・10・10の満点を達成。東洋医学の底力を改めて感じさせてくれた著効症例をご報告します。
👤 患者プロフィール
| 年齢・性別 | 50代・女性 |
| 主訴 | 右耳ボワーン感・水の中にいる感覚・低音難聴 |
| 既往歴 | 緑内障(ステロイド使用不可) |
| 経過年数 | 5年周期で耳症状が出現(20年前から) |
| 治療回数 | 2回(本稿報告時点) |
🔍 東洋医学的病因分析
20代〜30代の激務・睡眠不足が腎精の慢性的な消耗を招いたと考えます。腎は五臓の中で「先天の元気」を蓄える臓であり、過労と睡眠不足はこれを最も傷めます。
東洋医学では「腎は耳に開竅する」とされ、腎の氣が不足すると耳の機能が最初に低下します。5年周期で症状が再発するのは、腎精の回復と消耗がサイクルしているためと推測されます。
また、水様性の症状(ボワーン感・閉塞感)は腎陽の温化機能の低下による水湿停滞も示唆しており、今回の腎虚(腎陽虚+腎陰虚の混合)という診立てに一致します。
📊 氣脈功 数値の推移
| 腹診部位 | 1回目 去風前SK |
1回目 去風後SK |
1回目 SSK |
2回目 SK |
2回目 SSK |
|---|---|---|---|---|---|
| 心下部 | 2.2 | 8.2 | 10.0 🌟 | 9.2 | 10.0 🌟 |
| 脾 | −0.3 | 7.2 | 9.2 | 9.2 | 10.0 🌟 |
| 季肋下 | 3.3 | 6.8 | 9.3 | 9.2 | 10.0 🌟 |
| 腎 | −0.3 | 2.8 | 9.7 | 6.3 | 10.0 🌟 |
| 右耳(患部) | −0.3 | ― | 9.9 ✨ | ― | ― |
※ SK=氣脈功腹診値、SSK=ピーク値(最大反応値)。10が満点、3.0以下は症状域。去風=邪氣を払った後の数値。
🪡 治療内容
【第1回 2026年3月17日】
鍼治療:右太谿(腎経・原穴)補鍼
腎の原穴である太谿に直接補鍼。腎経の元気を呼び覚まし、腎氣位を−0.3から9.9へと一気に引き上げました。「耳は腎の開竅」という原則に則った、シンプルかつ直球の一手です。
処方:真武湯+研身(14日間)
真武湯で腎陽を温めて水湿を捌き、研身(MDR補助剤)で腎精を補充。耳の水滞症状と根本的な腎虚の両面からアプローチしました。
【第2回 2026年3月31日】
鍼灸治療:右復溜(腎経・金穴)補鍼+百会灸・風池灸
腎経の金穴・復溜で腎陰を滋養し腎気をさらに充実させました。百会灸・風池灸を加えて清陽を頭部へ昇らせ、耳・脳への氣の巡りを整えました。治療後、全腹診氣位が10・10・10・10の満点を達成。
処方:八味丸+填南仙(16日間)
八味丸で腎陽をしっかり補い、填南仙(MDR補助剤)で耳周囲の血流と氣の流れを改善。体質的な腎虚の底上げを継続します。
📈 経過と結果
3月17日(初回)― その場で耳症状が消失
太谿補鍼後、腎の氣位が−0.3→9.9へ急回復。帰り際に「耳のボワーンがない!」と患者さん自ら感動を報告。右耳の閉塞感・水感がその日のうちに解消しました。
3月31日(2回目)― 全氣位10達成
腎氣位は6.3まで回復(去風前)。復溜補鍼・百会灸・風池灸の施術後、心下部・脾・季肋下・腎すべてのSSKが10に到達。耳症状の再発なく良好に経過しています。
👁️ 院長の眼
20年前の激務・睡眠不足で腎精を消耗し、5年周期で耳症状が現れるという経過は、東洋医学でいう「腎精の盛衰サイクル」をまさに体現していました。
「耳は腎の開竅」。腎の氣が枯渇すれば耳に出る。これは東洋医学の基本中の基本です。だからこそ太谿一本・復溜一本というシンプルで直球のアプローチが著効をもたらしました。難しい手技より、正確な診立てこそが治療の命です。
緑内障の既往でステロイドが使えない状況の中、鍼灸・漢方で腎の氣を立て直すことができたこの症例は、薬に頼れない方へのオルタナティブとしての東洋医学の可能性を示しています。
治すのは患者さん自身の生命力。鍼灸・漢方はそのきっかけに過ぎません🌿
🔬 氣脈功(きみゃくこう)とは
氣脈功は、近江治療院が採用する東洋医学の独自診断システムです。お腹の4か所(心下部・脾・季肋下・腎)に軽く触れながら、鍉鍼(ていしん)と呼ばれる先のとがっていない特殊な鍼を経絡のツボにかざすことで、身体の氣の反応を数値化します。
数値は−1.0〜10.0のスケールで表し、10が最も氣の充実した状態、3.0以下になると症状が現れやすい「症状域」とされます。この数値の変化を見ながら、どの経絡・どのツボが今日の身体に最も必要かをリアルタイムで判断します。
鍼を刺さない(非接触〜極めて浅い)施術でありながら、氣の反応は即座に腹診数値に現れます。理論ではなく、身体の氣の反応が治療の指針です。
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