「大分今は治ってきました」
GW明けに風邪を引いたにもかかわらず、30代の女性患者さんがそう笑顔で報告してくださいました。以前は風邪のたびに全身の氣位が壊滅し、回復に数週間かかっていたこの方が、今回は上中焦の氣位が9.4〜10.0を維持したままで来院されました。
独活寄生丸+婦人宝による継続的な補益が、体の正気(免疫力)を底上げした結果です。今回の治療では腎経の合水穴・陰谷への補鍼一穴で腎の氣位が5.2→10.0へ急回復。大腸兪補一穴で複数の背部兪穴ST反応が同時に消退しました。体質が変わったことを、数値が証明した一例です。
👤 患者プロフィール
| 年齢・性別 | 30代・女性 |
| 体質傾向 | 氣滞体質・肝腎不足傾向 |
| 経過の特徴 | 風邪のたびに全身の氣位が壊滅・回復に数週間・生理前後の不調 |
| 本稿診療日 | 2026年5月12日 |
🔍 東洋医学的病因分析
肝腎不足の体質では、外邪(風邪など)が侵入したときに正気が抵抗する力が弱く、氣位が一気に底まで落ちます。以前は風邪のたびに脾−0.2・腎−0.3という最底値を記録し、回復まで数週間を要していました。
「正気存内、邪不可干(正気が内に充実していれば、邪気も侵すことができない)」という古典の言葉通り、正気の底上げこそが根本治療です。独活寄生丸による補肝腎・婦人宝による養血の継続が、この正気の充実を実現しました。
今回のST反応(至陽・膈兪)は風邪後の陽気消耗と血虚のサイン。大腸兪補という選択は、肺大腸の表裏関係と陽明多気多血の特性を活かした多層的な対処です。
📊 氣脈功 数値の推移(治療前SK・経時比較)
| 腹診部位 | 2/17 (風邪時) |
3/17 (風邪時) |
4/14 (生理前後) |
5/12 治療前 (今回・風邪時) |
5/12 治療後 SSK |
|---|---|---|---|---|---|
| 心下部 | 1.2 | ― | ― | 10.0 | 10.0 🌟 |
| 脾 | −0.2 | ― | ― | 9.8 | 10.0 🌟 |
| 季肋下 | 5.2 | ― | 3.3 | 9.4 | 10.0 🌟 |
| 腎 | 1.2 | −0.3 | 4.8 | 5.2 | 10.0 🌟 |
※ SK=氣脈功腹診値(治療前)、SSK=ピーク値(治療後最大反応値)。10が満点、3.0以下は症状域。
以前は風邪のたびに全身が症状域に落ちていたが、今回は風邪を引いても上中焦3部位が9.4〜10.0を維持。腎だけ5.2に留まったが、陰谷補一穴で10.0に到達し全分画満点を達成。
🪡 治療内容(2026年5月12日)
① 右陰谷(腎経・合水穴)補鍼
膝裏内側・半腱様筋腱外縁に位置する腎経の合水穴。合穴は氣が深く合する穴であり、風邪後の腎虚を深いレベルから補います。今回の風邪後腎虚という状態には太谿・復溜ではなく陰谷が適合と判断。腎の氣位が5.2→10.0に急回復し、全腹診満点を達成。
② ST反応の確認(処置なし)
至陽(GV9・督脈第7胸椎)ST→風邪後の陽気消耗のサイン。左膈兪(BL17・血会)ST→血虚のサイン。次の治療穴選択のための指標として確認。
③ 左大腸兪(膀胱経・大腸の背部兪穴)補鍼
第4腰椎棘突起下外方1.5寸。肺大腸の表裏関係・陽明多気多血・背部兪穴ラインの三重の効果を持つ一穴。大腸兪補一穴で至陽ST・膈兪STが同時に消退し、風邪の残り(喉・鼻)も改善。
陰谷補で腎の底を補い、大腸兪補で風邪の残滓と血虚を同時に処理。
最小穴数で最大効果を引き出す構成。
📈 体質改善の経過と結果
風邪を引いても上中焦の氣位が9.4〜10.0を維持 ← 以前は全身壊滅
風邪の回復が早くなった ← 以前は数週間かかっていた
食欲・睡眠・便通すべて良好 ← 風邪中でも基礎体力を維持
独活寄生丸を2包→1包に減量しても安定 ← 体質が維持量で保てる段階へ
💊 処方内容(維持量へ調整)
🌆 夕食前(腎経の旺時・17〜19時)
独活寄生丸 1包 × 28日分(前回2包→今回1包に減量)
補肝腎・強筋骨。悪化したからではなく、体質が安定したための減量です。急性期の攻めの補益から安定期の維持量へ移行。「急則治其標・緩則治其本」の原則通りです。
🌙 眠前(心包経の旺時・21〜23時)
婦人宝 12mg × 28日分(前回と同量継続)
養血調経・衝脈任脈を補う。生理前後の肝腎不足を支える柱として継続。
👁️ 院長の眼
今回のポイントは、風邪を引いても上中焦の氣位が9.4〜10.0を維持できていたという事実です。以前は同じ状況で脾−0.2・腎−0.3という壊滅的な数値になっていた。この変化こそが体質改善の証拠であり、独活寄生丸+婦人宝による継続補益の成果です。
治療穴の選択も今回の見どころです。腎経の補穴は太谿・復溜・陰谷と複数ありますが、風邪後の腎虚という状態には「気が深く合する」合水穴の陰谷が最適と判断しました。腎経治療の使い分けは、症状の深さと性質によって変わります。
大腸兪補が至陽ST・膈兪STを同時に解消したのは、肺大腸の表裏・陽明多気多血・背部兪穴という三つの作用が重なった結果です。処方を2包→1包に減量したのも、少量で維持できる体質に変わったという判断であり、悪化ではありません。
治すのは患者さん自身の生命力。鍼灸・漢方はそのきっかけに過ぎません🌿
🔬 氣脈功(きみゃくこう)とは
氣脈功は、近江治療院が採用する東洋医学の独自診断システムです。お腹の4か所(心下部・脾・季肋下・腎)に軽く触れながら、鍉鍼(ていしん)と呼ばれる先のとがっていない特殊な鍼を経絡のツボにかざすことで、身体の氣の反応を数値化します。
数値は−1.0〜10.0のスケールで表し、10が最も氣の充実した状態、3.0以下になると症状が現れやすい「症状域」とされます。この数値の変化を見ながら、どの経絡・どのツボが今日の身体に最も必要かをリアルタイムで判断します。
鍼を刺さない(非接触〜極めて浅い)施術でありながら、氣の反応は即座に腹診数値に現れます。理論ではなく、身体の氣の反応が治療の指針です。
風邪をひきやすい・生理不順・体質を根本から変えたい方へ
「毎回風邪が長引く」「体力がない」という方も、
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