壁谷小百合様。先週からの家族看病および愛犬の病気により心労が重なり、「神経を使うと眠れない」という不眠を訴えて来院。前回治療で自力入眠可能レベルまで回復していたが、今回のストレス負荷で再び不眠傾向が出現。ストレス耐性が完全には回復していなかったことが判明。
📊 氣脈功測定(治療前SK)
| 心下部 | 6.8合(前回9.2から大幅低下) |
| 脾 | 10.0合 |
| 季肋下 | 10.0合 |
| 腎 | 9.2合(前回7.2から改善) |
⚠️ 心火上炎による心腎不交腎の氣は順調に回復(7.2→9.2)している一方、心下部のみ6.8に低下。これは典型的な心火上炎のサイン。過度な心配事や精神的ストレスが「心」を傷つけ、心の熱(心火)を上昇させる。本来、心火は腎水に受け止められて下降し、心腎が交流することで安眠が得られる(心腎交通)。しかし心火が強すぎると腎に降りることができず、頭や胸に熱が滞り、「神経が高ぶって眠れない」状態となる。患者様も「疲れている時はよく寝られる」「神経を使うと眠れない」という典型的な心火上炎パターン。
【前回処方】
【今回処方変更・28日分】
💡 安身→研身への処方変更理由
・安身:心腎交通を促進(心と腎をつなぐ)
・研身:清心安神(心火を冷まし、神を安んずる)
今回の心下部SK 6.8は、過度な心労による心火上炎が主因。まず心火を冷ますことが先決であり、その後に腎への交通を図るという段階的アプローチが必要と判断。
| 部位 | 治療前(SK) | 治療後(SSK) | 変化 |
| 心下部 | 6.8 | 10.0 | +3.2 |
| 脾 | 10.0 | 10.0 | 維持 |
| 季肋下 | 10.0 | 10.0 | 維持 |
| 腎 | 9.2 | 10.0 | +0.8 |
| 結果 | 全氣位10.0達成 | ||
心労による不眠は、単なる「眠れない」という症状ではなく、心火上炎という明確な病態である。先週からの家族看病と愛犬の病気により心労が重なり、前回治療で自力入眠可能レベルまで回復していた患者様が、再び不眠傾向を呈した。氣脈功測定では、腎は順調に回復(7.2→9.2)しているのに、心下部のみ6.8に低下。これは典型的な心火上炎のサインである。過度な心配事や精神的ストレスが「心」を傷つけ、心の熱(心火)を上昇させる。本来、心火は腎水に受け止められて下降し、心腎が交流することで安眠が得られる(心腎交通)。しかし心火が強すぎると腎に降りることができず、頭や胸に熱が滞り、「神経が高ぶって眠れない」状態となる。患者様も「疲れている時はよく寝られる」が「神経を使うと眠れない」という典型的な心火上炎パターンだった。今回の治療では、左復溜(腎経・補)と左列缺(肺経・補)の2穴のみを選択。復溜で腎陰を補い心火を受け止める器を整え、列缺で肺気を宣発・粛降させ心肺の気を下降させた。列缺は任脈と通じて心下部への気の下降路を確保し、「憂いを主る」経穴として心労による心神不安を鎮静する。結果、心下部6.8→10.0(+3.2)、腎9.2→10.0(+0.8)、全氣位10.0を達成。特に心下部の劇的改善は、列缺により心肺の気が降り、復溜で整えた腎の器にしっかりと納まったことを示している。処方は安身から研身へ変更。安身は心腎交通を促進する処方だが、今回の心火上炎に対しては、まず心火を冷ます研身(清心安神)が先決と判断した。心火を冷ました後、腎への交通を図るという段階的アプローチである。
「平時は自力で心腎交通できても、ストレス時には薬のサポートが必要」——これは決して後退ではなく、体の正直な反応である。治療を重ねることで、このストレス耐性も徐々に強化されていく。