彦根市の鍼灸院 近江治療院 - 氣脈功による東洋医学専門治療院
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『「補いすぎず、抜きすぎず」──91歳の頻尿・夜間尿と向き合った14日間の記録』

内科・自律神経・不眠

💠 『「補いすぎず、抜きすぎず」──91歳の頻尿・夜間尿と向き合った14日間の記録』

【投稿日: 2025-05-30】

◆はじめに「夜中に何度も起きてしまうんです。トイレに行く途中で間に合わなくて、下着が汚れてしまうこともあって……」そう話してくれたのは、91歳の西山律子さん(仮名)。しんどさ、頻尿、夜間の覚醒、不安定な睡眠リズム。高齢の方に多いこれらの症状を、鍼と漢方でどう整えるか。今日は、西山さんの14日間の治療経過を振り返りながら、「補いすぎず、抜きすぎず、身体の声を聴く」という診療の在り方について、書いてみたいと思います。◆患者情報氏名:東山 律子(仮名)年齢:91歳主訴:頻尿、夜間尿、しんどさ、認知傾向の揺らぎ生活背景:昼夜逆転傾向あり(現在やや改善傾向)散歩再開(3分程度を無理なく継続中)補聴器は購入済みだが装着拒否(耳遠い)ご家族との同居サポートあり(息子さん)◆初診時の状態(2025年5月10日)Nさんは「しんどさ」を自覚しながらも、「まぁ悪くはない」と口にされることが多く、舌や顔色には陰虚や気血の不足感が見られました。頻尿:日中6回以上、夜間は最大6回ほど起きるトイレに間に合わず下着を汚すこともあり、本人の精神的負担が大きい睡眠リズムは乱れがちだが、徐々に改善方向へ本人の自己評価「調子は悪くない」◆舌診・所見舌色:淡紅、やや乾燥苔:やや薄く乾燥、舌根に軽度の黄苔舌尖やや紅 → 心火傾向あり舌縁は安定 → 肝脾はある程度保たれている全体として「肺腎陰虚+心火上炎」の状態と判断。◆鍼施術(5/24)この日は、わずか1本の鍼で診療を終えました。使用した経穴は、督脈上の【強間(GV18)】。音素「ワ」反応がT3(肺兪/身柱ライン)に出現左心兪にもST反応(緊張・不安定な神経系)強間へ瀉法で鍼を一本入れたところ、肺兪・心兪のST反応がすべて消失四分画もスムース(SM)に安定まさに“一点突破”の施術となりました。◆処方構成(14日分)朝前:柴胡疏肝湯+生脈散(合方)+黄連阿膠湯(1包)夕前:清湿化痰湯(1包)以前使っていた味麦地黄丸は、今回ST反応が出たため中止。処方のテーマは「補いすぎず、巡らせて、沈める」。◆経過と変化夜間尿:6回 → 4回に減少食後の咳:減少傾向(肺気と胃気の気逆改善)ご本人の一言:「調子がいいです」顔色も明るく、気血の巡りが改善散歩:最近また再開忘れっぽさ・短期記憶の揺らぎ:継続(認知の初期傾向)◆今後の展望Nさんは、身体の奥の「芯」にあたる腎陰や心神に負担が出やすい体質です。今後は:心神安定をメインに、心兪・神庭・百会などを用いた調整必要に応じて天王補心丹や酸棗仁湯などの軽補心処方も選択肢気を動かし、湿を捌き、神を落ち着かせる──そんな診療を続けていきたいと思います。