男性患者様。右足の痺れを主訴に来院。特に脛の外側から甲、足裏にかけての痺れ。朝方は比較的楽だが、夕方や歩数が増えると症状が出やすく、日により程度の差がある。きっかけは溝掃除時に無理をしたこと。元々体が固く腰痛や打ち身痛を感じていた。手足の冷えも年々強く感じている。
問診では、多夢・中途覚醒あり、手足のみ冷えるとのこと。脛の外側は足の陽明胃経の経路(足三里~厲兌)に当たり、胃経の異常と診る。漢方腹診では脾の見どころに冷えを感じたため、脾胃の虚と判断。
⚠️ 脾胃虚+血虚+気滞+風湿痺糸練功測定:足の甲の痺れ0.3合、血虚5.2合、気滞0.4合。気が弱く気滞がみられる。さらに足の痺れを風湿痺と診る。治療経絡は胆経と判断。胆経の丘墟・四瀆に圧痛あり。
初診(5月9日):
3回目(5月26日):
7回目(7月5日):
8回目(7月20日):
※糸練功でSM(スーパーマッチ)確認済み
| 時期 | 足の甲の痺れ | 足痛み | 状態 |
| 初診(SK) | 0.3合 | - | 脛外側~甲~足裏の痺れ |
| 7回目(7月5日) | 9.8合 | 9.2合 | 13000歩歩いても平気 |
| 8回目(7月20日) | 殆ど痛み痺れなし | 月1回メンテナンスへ移行 | |
| 改善幅 | +9.5合 | 約2ヶ月で劇的改善 | |
この患者様の主訴は「右足の痺れ」であったが、痺れの経路を見ると、脛の外側から甲、足裏にかけてである。これは足の陽明胃経の経路(足三里~厲兌)に一致する。つまり、胃経の異常が痺れの原因である。漢方腹診では脾の見どころに冷えを感じたため、脾胃の虚と診た。糸練功では、足の甲の痺れ0.3合、血虚5.2合、気滞0.4合。気が弱く気滞がみられる状態である。さらに、溝掃除時の無理がきっかけで発症したことから、風湿痺の要素もあると判断した。処方は、小建中湯で脾胃を補い、柴胡疎肝湯で気滞を解消、桂枝加朮附湯で風湿痺に対応した。糸練功でSM(スーパーマッチ)を確認し、処方の適合性を確認した。鍼灸治療では、治療経絡を胆経と判断。胆経の丘墟・四瀆に圧痛があり、ここを中心に治療した。また、血虚に対して血海・三陰交を用いた。血虚は痺れの重要な要因であり、血を動かすことで経絡の流れを改善する。
3回目の治療(5月26日)では、左太白で脾を補い、右環跳・上風市・丘墟・臨泣で胆経を整え、さらに灸治療で血を動かす意味を持たせた。左膈關・命門・左次髎・左大腸兪・関元・石門に施灸。特に小腸の募穴反応があり、関元に重点を置いた。約2ヶ月後の7回目診療(7月5日)では、「13000歩歩いても痺れ痛みは大丈夫」と喜ばれていた。足痺れ9.8合、足痛み9.2合まで回復。0.3合から9.8合への改善は、+9.5合という劇的な回復である。
8回目(7月20日)では、「殆ど痛み痺れはない」とのこと。本治法として左陰陵泉の補法と左志室への施灸のみで、入江四分画(最終診断法)にてSM確認。治療完了と判断した。この方は、その後調子が良いため、月1回のメンテナンス診療に移行していただいた。坐骨神経痛は、西洋医学では神経の圧迫と説明されるが、東洋医学では経絡の異常として捉える。今回のように、胃経・胆経の治療と脾胃の補益、血虚の改善を組み合わせることで、根本から改善できる好例である。