🔍 診立て
40代女性。チョコレート嚢腫約10cm、生理時の大量出血、腰痛。病院で鉄剤処方中(貧血治療)。宗教上の理由で動物性生薬は使用不可。初診時(2/2):ヘモグロビン値7.6g/dL(正常値11.3〜15.2、重度の貧血)、生理2日目が夜用ナプキンでも漏れるほどの大量出血、生理時に必ず腰痛。氣脈功測定で心下部0.4(極端な虚熱)、脾5.2、季肋下2.2、腎2.2。生理中で心下部に強い虚熱、女子胞(子宮)の処理負荷が増大。チョコレート嚢腫という「瘀血(古い血の塊)」が居座っているため、血が漏れやすく腰痛も出る。
💊 初回処方(2/2)
温清飲1.5包:血熱を冷まし、血を「漏れない形」に整える
婦人宝6mg:血を増やさず、血を安定させる
浄身1カプセル:風毒の残像を掃除
→ 病院の鉄剤で「材料」を入れながら、漢方で「使える形」に整える作戦。瘀血を動かしつつ、新しい血は漏らさない絶妙なバランス
🌱 2週間後(2/16)の変化
心下部0.4→5.2(虚熱が取れた)、生理は終了、前回の処方が効いている手応えあり。しかし脾5.2→2.2(低下)、腎2.2→1.2(さらに低下)、季肋下2.2→6.7(肝胆が瘀血処理中)。心下の虚熱は取れたが、脾と腎の底値が課題。季肋下6.7は肝胆が「瘀血の通路」として働いている証拠。「瘀血を取らないと根本解決しない」と判断。
💊 処方変更(2/16)
滋陰降火湯1包:腎陰を補い、虚火を下ろす
八味丸12錠:腎陽を温補、固摂力アップ
填南仙5錠:瘀血の通路を開く!(膀胱・腎・肝・心包に働きかけ瘀血の出口を開く)
🎉 今日(3/5)の奇跡
生理パターンが劇的変化: 以前は1〜2日目から大量出血、夜用ナプキンでも漏れる、必ず腰痛。今回は1〜2日目出血なし!3〜4日目大量出血(でも新しい血)、腰痛なし!
血液検査の劇的改善: ヘモグロビン7.6→13.8g/dL(ほぼ正常値まで回復、たった3週間でこの変化)
氣脈功オール10達成: 治療前:心下部7.2、脾7.2、季肋下9.2、腎9.2 → 治療後:全部10!完璧なSM(Smooth)状態
📊 氣脈功(経過)
| 時期 | 心下部 | 脾 | 季肋下 | 腎 |
|---|---|---|---|---|
| 初診(2/2) | 0.4 | 5.2 | 2.2 | 2.2 |
| 2/16 | 5.2 | 2.2 | 6.7 | 1.2 |
| 3/5治療前 | 7.2 | 7.2 | 9.2 | 9.2 |
| 3/5治療後 | 10 | 10 | 10 | 10 |
⚠️ 新たな症状(好転反応)
花粉症(鼻水・くしゃみ)が2〜3日前から、側頭部の頭痛、右肩痛(左腕の採血後から)。これは「悪化」ではなく「排出中」の証拠。瘀血が排出される過程で肝胆経を通って上焦に熱が上がり、その熱が肺・鼻に波及→花粉症様症状、胆経・三焦経に反応→側頭部頭痛、右小腸経に実邪→右肩痛。
💉 本日の治療(3/5)
右復溜(補・腎経):腎の気化作用を定着、夜間トイレ改善
右承光(灸・膀胱経):側頭部頭痛・花粉症(鼻の症状)
右肺兪(補):上焦の熱・花粉症対応
右腎兪(補):腎の定着
右腎兪外方3寸(瀉):実邪を抜く
右志室(補):腎の側方支持
右志室外方1.5寸(補):さらに外側で支える
右少沢(刺絡):右小腸経の実邪を抜き右肩痛が楽に
→ 上焦の熱を上から(承光灸・肺兪補)と下から(復溜補・腎兪補)で挟み撃ち。右側の経絡(小腸・三焦・膀胱)を集中的に整える
💊 処方変更(3/5〜)
八味丸12錠→7錠(腎が安定してきた証拠)
填南仙5錠→2錠(瘀血の大部分が抜けた証拠)
養身0.5カプセル(隔日):オール10を維持
※すべて植物性のみの処方(宗教上の配慮)
🍽️ 食養生(GYO)
積極的に:イカ(刺身・煮物、軟化散結・活血、スルメは硬いのでNG)、黒い食材(黒きくらげ・黒豆・黒ごま、腎を補う)、海藻類(昆布・わかめ、瘀血を動かす)、白い食材(大根・白菜、肺を潤す、花粉症対策)
避ける:冷たい飲食物、生もの(刺身は常温に戻す)、脂っこいもの、甘いもの、乳製品(鼻水が増える)
💆 セルフケアツボ
三陰交(内くるぶしから指4本分上):婦人科の万能ツボ、指圧30秒×3回
血海(膝のお皿内側、指3本分上):瘀血を動かす、指圧30秒×3回
腰眼(腰のくぼみ):サンドイッチカイロで20-30分温める
迎香(小鼻の脇):花粉症の鼻症状、指圧30秒×3回
合谷(手の甲、親指と人差し指の間):花粉症の万能ツボ、指圧1分×3回
【院長の眼】
瘀血排出成功→オール10達成という、東洋医学の理想的な治療経過をたどりました。生理の1〜2日目に出血がないというのは「古い瘀血」がすでに処理された証拠です。従来は瘀血混じりの血が1日目から一気に出ていたから大量出血+腰痛でしたが、今回は填南仙で瘀血の通路を開いたことで、生理が来る前に瘀血が少しずつ排出されていました。だから3〜4日目の出血は「新しい血」。瘀血の引っ張りがないから腰痛もなし。西洋医学(病院の鉄剤で血を作る「材料」を供給)と東洋医学(当院の漢方で①瘀血を排出する通路を開く、②新しい血を「使える形」に整える、③血を「漏らさない」固摂力を高める)の完璧な連携が、たった3週間でHb7.6→13.8という奇跡的な回復を生みました。前回(2/16)、脾が2.2と低かったので「研身(脾胃ケア)」を選ぶ選択肢もありましたが、私は瘀血(チョコレート嚢腫)が根本原因だと見抜き、填南仙5錠を選びました。その結果、今回は脾が2.2→7.2→10に自然回復。瘀血が脾の負担になっていたから、瘀血を取ったら脾が勝手に良くなったのです。花粉症・頭痛・右肩痛という新たな症状は「通過反応」。オール10達成、血液データ改善、腰痛消失という「本質的改善」があるから、これは好転反応と判断できます。西洋医学も東洋医学も、患者さんを治すための「道具」。どちらが優れているかではなく、どう組み合わせるかが大事。患者さんの信念(宗教)を尊重し、すべて植物性のみの処方で最大限の効果を引き出しました。これも東洋医学の柔軟性です。